「コート」は、いちばん外側に着る衣服の総称です。「物の表面を覆う」「カバーする」が本来の意味で、もともとはアウターウェアであり、ジャケット類なども含めました。最近では、袖つきで丈の長い外套をさします。
コートのシルエット
コートの着丈
丈の長さによって、デザインが同じでも印象は変わります。
<ショート丈>
着丈が短いコートと言えば、ピーコート。最近のトレンドとして、ショート丈のものが多く出ています。
<ミドル丈>
お尻が隠れるくらいの長さ。カジュアル用のコートが多いです。
<ロング丈>
膝下5センチぐらいの丈が一般的なコートとも言われます。ビジネスコートや防寒用のコートとして取り入れられることの多い丈感です。
コートのゆとり・袖のデザイン
コートは一番上に着るものなので、基本的にゆとりを取ってありますが、着たときにすっきりと見えるよう工夫されているシルエットもあります。ウエストラインを絞っているものや、ピーコートのようなコンパクトなデザインのコートもあります。
ボリュームシルエットは、全体のシルエットを隠すような厚みのあるデザイン。シルエットムートンコートなどのモコモコした素材を使ったものや、ダウンなどの防寒用のコート、シルエットにボリュームが出るようデザインされたものがあります。最近は、わざと大きめのサイズを選んで、ルーズに着こなす「ビッグシルエット」なるものも提案されています。
ラグランスリーブ(袖)は、襟ぐりから脇下にかけて斜めの切り替えが入ったもの。肩から袖が一続きになっており、肩がゆったりと動きやすくなっています。トレンチコート、ステンカラーコートなどがあります。
全体のシルエット(I・A・Y・Xライン)
次に、コートで作れるシルエットの形を見ていきましょう。
Iラインシルエット
アルファベットの「I」のように、上も下も細いのがIラインシルエット。全体にスマートなスタイルです。
Aラインシルエット
トップスはコンパクト、ボトムスにボリュームを持ってくるのがAラインシルエット。
チェスターコートやステンカラーコートは、羽織るだけでAラインシルエットができ上がります。
一番上のボタンを留めると、Aラインのシルエットがより引き立ちます。
ロングコートを着るときに、太めのパンツを履くとボリュームが出すぎてしまうので、細身のパンツがおすすめです。
Yラインシルエット
上はボリュームのあるアイテム、下はコンパクトなアイテムを合わせたスタイルがYラインシルエット。
Xラインシルエット
トレンチコートのベルトをキュッと絞って着ると、Xラインのシルエットになります。メリハリのあるラインで、肩幅が強調されます。
コートの種類
ピーコート
厚手のウール素材でできたショートコート。襟はダブルの打ち合わせ(フロントの重なりのこと)。風向きによって、右と左どちらを上にしても着れるようにデザインされています。
もともとは水兵や船員の着るコートとして親しまれていました。
モッズコート
「モッズ (mods)」は、「モダーンズ」を略した俗称です。1960年代~イギリスのストリートファッションとして流行しました。
巷で見かけるモッズコートは、もともとモッズパーカと呼ばれたもの。今は、ファーフードつきのミリタリー調コートのことを「モッズコート」と呼んでいます。
ドラマ「踊る大捜査線」で織田裕二演じる青島刑事が着用したことで注目され、「青島コート」として話題を呼びました。
チェスターコート
ここ数年のトレンド、チェスターコート。19世紀に英国のチェスターフィールド伯爵がはじめて着たコートといわれています。テーラードジャケットのような襟のあるデザイン。伝統的なコートということで、全体をきっちりかっちりまとめてくれます。基本的にはフォーマルなアイテムに合わせるコートでしたが、最近はカジュアル服と合わせたコーディネートが人気です。
ステンカラーコート
ステンカラーは、後ろの襟腰(襟の高さ)が高く、前の襟は低くペタンとした印象の四角い襟のこと。直線的なスッキリとしたシルエットで、男性のビジネス用コートとして親しまれています。膝丈のものが一般的です。ステンカラーコートは日本独自の呼び名です。
ダウンコート
LACOSTE (M)コットンピケ ダウンコート ラコステ |
ダウン(羽毛)入りでキルティングされた生地でつくられたコート。軽くて暖かいのが特徴。ユニクロの定番商品でもあるナイロン製ダウンがポピュラーですが、ウールやレザー素材のダウンもあります。使われている素材によって、スポーティに着こなしたり、キレイめカジュアルコーデに取り入れたりすることができます。
ダッフルコート
nano・universe Melton ダッフルコート ナノユニバース |
厚手の起毛素材のフード付きコート。ダッフルは厚手の粗いウール素材のことです。ショート丈とロング丈があり、色やシルエットによっても印象は変わります。
もともとは北欧の漁師が仕事着として着ていました。それが第二次大戦で英国海軍が採用し、次第に一般化していきました。
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特徴は、角型の留め具(トグル・ボタン)と紐のループ。手袋をしながらでも脱ぎきしやすいよう、このデザインになったといわれます。
トレンチコート
メルトントレンチコート ロング |
防水素材でできたダブル襟のベルトつきコート。肩章(肩にそって付けるバンド状の飾り)がついていることも特徴です。
戦闘服の機能性を備えたコートとして英国陸軍に採用されました。トレンチは塹壕(ざんごう)を意味します。
スーツスタイルにもカジュアルスタイルにも合わせられる定番アイテムです。