当たり前のように使われている「コーディネート」という言葉。そもそもどういう意味なのでしょうか?
ファッション辞典にはこうあります。
コーディネート [coordinate]
統合し、調整し、調和させること。ファッションでは<色や素材・デザインなどの和を考えて衣服やアクセサリーを組み合わせること>を意味することが多い(文化出版社『ファッション辞典』より)
つまり、コーディネートとは各所を調整して全体をまとめること。
服や小物をバランスよく組み合わせることで、「おしゃれなコーディネート」が完成するわけですね。
洋服のコーディネートは、次の3つの要素に分けられます。
- 全体のシルエット
- アイテムの雰囲気
- 色
一つずつ見ていきましょう。
1.シルエット
シルエットと聞いて影絵をイメージする人もいるのではないでしょうか。
ファッションにおいては、服の形、アイテムを組み合わせたときの形をシルエットと呼んでいます。
「このアイテムはシルエットがとてもキレイで~」というコメントを聞いたことはないでしょうか? 「ゆったりとしたシルエット」「スリムシルエット」という使い方もします。
服のシルエット
例えば、ジーパンであれば、
・ストレート
・ワイド
・テーパード
・フレア(ブーツカット)など
デザインがちょっと違うだけで印象がガラリと変わります。
シャツやジャケットなど他のアイテムにも、それぞれのシルエットがあります。
服を組み合わせたときのシルエット
服を組み合わせて着たときにできる全身の形も、コーディネートを組む上で押さえておきたいポイントです。
Iライン
アルファベットの「I」のようにまっすぐなライン、細身ですっきりとしたシルエットです。ビジネスマンのスーツスタイルもIラインです。
Aライン
上は細身、下はボリュームがあるボトムを合わせて作るシルエットが「Aライン」です。男らしさやラフさを表現できるスタイルです。
Yライン(Vライン)
Aラインとは反対に、上にボリュームを持ってきます。大きめサイズの上着に、スキニ―パンツが定番の組み合わせです。
全体のシルエットによって、スマートに見えたり、リラックス感を演出することができます。
また、体型に合ったシルエットを上手に取り入れることで、コンプレックスとなっている部位をカバーすることも可能です。
原則として、美しいシルエットをつくるためには、ジャストサイズを選ぶことが大切です。
あえて大きめサイズを着て「ルーズシルエット」をつくったり、タイトな仕上がりになるよう小さめサイズを選ぶこともありますが、ベーシックな服装をするときには、ほどよい大きさが無難です。
2.アイテムの雰囲気(テイスト)
シルエットの他に、全体の雰囲気をうまく組み合わせることもコーディネートのポイントです。
ファッション用語では、スタイル(服飾の様式、服や髪の型)やルック(特定のイメージや型)といった言葉が使われます。「テイスト」「系統」で説明されることもあります。
ジャケット、シャツ、パンツ、靴など、アイテムの数だけ組み合わせ方があります。
カジュアルとフォーマル(キレイめ)をバランスよく組み合わせると、うまくまとまります。
わかりやすいのは、仕事、冠婚葬祭、旅行、アウトドアなどTPOに合わせた組み合わせ。「ナチュラル」「クール」「エレガント」「トラッド」のようなイメージで表されるファッションもあります。
つくりたい雰囲気に合ったアイテムを選び、ちぐはぐにならないよう組み合わせること。
適切なアイテム選びがコーディネートには不可欠です。
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3.色
いくらきれいなシルエットをうまく組み合わせても、色合わせを間違えば、残念な仕上がりになってしまいます。
合わせる色によって、全体の雰囲気は大きく変わります。素材や柄もコーディネートに大きく影響します。
色は大きく分けると2種類。「無彩色」と「有彩色」、つまり「白黒」と「赤黄青などのカラー」です。
理論的には、次の3つの属性で説明されます。
・色相(赤、黄、緑、青などの色み)
・明度(明るさ)
・彩度(鮮やかさ)
コーディネートで押さえておきたいのは、「色調(トーン)」です。
・明るい
・暗い
・濃い
・薄い
・柔らかい など
同じトーンの色を組み合わせることで、コーディネートはうまくまとまります。おしゃれな人は、トーンの活かし方をマスターしていると言ってもいいでしょう。
さらに、余裕があれば、肌の色にも注目してみてください。コーディネートを組む際、着る人の肌に合ったものを選ぶと、スッキリとしたスタイルをつくることができます。
人それぞれ自分に似合う色があり、選び方によっては、肌の色がくすんで見えたり不健康な印象を与えてしまうこともあります。
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【初心者向け】コーディネートの組み立て方
これだけたくさんのパターンを組み合わせるなんて聞くと、途方に暮れてしまうかもしれません。
でも、大丈夫。まずは、基本形を一つ覚えてしまえば、あとはその応用です。
コーディネートを組み立てやすい順番は、
1.シルエット
2.アイテムの雰囲気
3.色
全体の骨組みをつくってから、細かなところを作り込んでいくイメージです。
ファッションはバランスです。全体のシルエットを決めてから、色やアイテムで調整すると、うまくまとまります。
例えばこんなふうに組み立てます
初心者の人にオススメなのは、Iラインです。
もっとも無難なシルエットで、幅広い系統に応用できます。スッキリとした大人っぽい雰囲気で、コーディネートもさほど難しくありません。
シルエットを決めたら、次はアイテム。
Iラインをつくる場合は、細身のパンツにジャストサイズのシャツやカットソーが基本のアイテムです。ラフなもの(ダメージジーンズなど)より清潔感のあるアイテム(白シャツなど)を多く取り入れると、おしゃれにまとまります。
次に、色選び。
基本は無彩色です。黒、白、グレーは他の色とケンカしません。派手色の服を着たいときも、無彩色と合わせておけば大失敗することはないでしょう。
その他に、ネイビー、ブラウン、ダークブルー(デニム)も取り入れやすいベースカラーです。
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コーデをパターン化
ファッションコーディネートと言われると、力んでしまうかもしれませんが、難しいことをする必要はありません。
・自分のサイズを把握する
・自分に合うシルエットを見つける(初心者向けはIライン、下半身が気になる人はYライン)
・ベーシックカラーを中心に揃える
・あらかじめ、アイテムの組み合わせを考えてパターン化しておく
まずは基本パターンを再現することから始めましょう。清潔感のある服と靴を身につけ、全身を鏡でチェックする、それが大事です。
慣れてきたら、少しずつコーディネートの幅を広げていきましょう。これまでの組み合わせに一つ新たなものをプラスしていくと、抵抗なく取り入れられると思います。
あとはそのくり返し。
感覚的に捉えるのが苦手な人、「好きなもの着ればいいんだよ」と言われて困ってしまう人は、とにかく理詰めでいきましょう。