体型に自信がなくて、ファッションを楽しめない……。
そんな悩みを抱えていませんか?
体型は簡単に変えられるものではないし、「気の持ちよう」でコンプレックスを克服できるものではありません。
しかし、ちょっとの工夫で、体型をカバーすることができます。
このページでは、着こなしに差が生まれる基本的なテクニックをご紹介します。目の錯覚を使ったカバー術の解説もあります。
これらの知識を足掛かりに、おしゃれの苦手意識を克服していきましょう!
【基本テクニック】今すぐできる体型カバー術
難しいことはいいから、さっさと体型カバーのコツを教えてくれ! という人のために、基本のテクニックを見ていきましょう。すぐに真似できる簡単カバー術です。
引き締めカラーを使う
がっちり体型の人は濃い色を合わせることで、引き締まった印象になります。
反対に、ほっそり体型の人は淡い色を持ってくることで、線の細さが中和されます。
パンツと靴の色を合わせる
靴の色を変えるだけ! パッと見の足の長さの違い、一目瞭然ですよね。
パンツと靴の色を合わせるだけでOK。足長効果を期待できる簡単テクニックです。
縦ラインを意識
縦のラインを作ることで、スラッとした印象になります。
ストールは簡単に縦のラインを作れるアイテムです。
白いTシャツにジャケットやカーディガンを羽織るだけでも締まった印象になります。ネクタイやロングコートも縦長を強調できるアイテムです。
着丈が長いトップスは避ける
着丈が長いトップスは胴長に見えてしまいます。着方によってはだらしなく見えてしまうことも。特に白のような膨張色は広がってみるので、アウターとうまく組み合わせましょう。
目の錯覚を使ったテクニック(色・柄)
基本テクニックで挙げたものは、目の錯覚を利用したものです。ここで、簡単にファッションに応用できそうな色・柄の効果をご紹介します。
膨張色と収縮色
どちらも同じ大きさの丸ですが、白は大きく、黒は小さく見えます。
大きく見える色:膨張色
小さく見える色:収縮色
一般に、オレンジ系統の色は膨張色が多く、ブルー系統の色は収縮色が多いと考えられています。
組み合わせによっても、印象は変わります。
こんな色の服着ねぇよ!と言いたい気持ちを抑えて見比べてみてください。左より右の方が締まって細く見えますよね。
広く大きく見せたい場合は、白などの膨張色を、シャープな締まった印象にしたいときは黒などの収縮色を使うと効果的です。
<ほっそり体型の人の場合>
細い線をカバーしたい人は、白っぽい色を着ると、ボリューム感を出すことができます。
<がっちり体型の人の場合>
太さをカバーしたいときは、黒っぽい色を着ると、締まって見えます。
濃い色と薄い色の配置
色の配置によっても、大きさの見え方は変わってきます。
左側(中心:濃い色、周囲:薄い色)は、周りに向かって広がっていくように見えます。白い部分がぼんやりした感じです。全体を大きく見せたいとき使うと効果的です。
右側(中心:薄い色、周囲:濃い色)は、中心の白が目立ちます。黒は目立たず、白を引き立てているので、コンパクトに見えます。着やせテクニックとしてよく使われます。
左側の白い上着はぼんやりした柔らかい印象、右側の黒い上着は全体を引き締めて、インナーの白が引き立っています。
縦縞・横縞(ヘルムホルツの正方形)
正方形の中に縞模様を描くと、縦縞は横に広く、横縞は縦に長く見えます。
縞の太さを変えても、横縞の方が縦長に見えます。
一般的に、ボーダー(横縞)は太って見えると言われます。しかし、ヘルムホルツの正方形から結論すると、ボーダー柄の方が細く見えるということになり矛盾します。一体どういうことなのでしょうか?
縦縞と横縞の洋服で比べてみましょう。
正方形のような明確な差は見られません。強いて言えば、丈の長い洋服は、ストライプ(縦縞)の縦ラインが強調されてスマートに見えます。一方、右側のボーダーは横に引っぱられて間延びした印象を受けます。
次に、Tシャツで比べてみましょう。
右側のボーダーの方が細く見えませんか?
では、カーディガンを羽織ったときはどうでしょうか?
こちらも、ボーダーTシャツを着た方がスッキリとした印象になります。横縞模様が上下に続くような視覚効果を与えるためです。同様に、縦縞は左右に伸びるように見えます。
このように、シルエットによって縞模様の効果は変わります。
基本的な見え方としては、Tシャツなど正方形に近いものはボーダーの方が細く見えると結論してよさそうです。
が、やはり試着して見え方を確認するのが一番ですね。
ゲシュタルト群化
ゲシュタルト群化は、似たものがまとまって見える錯視です。離れて並んでいても、色や形、明るさが似たものはつながって見えます。
上下を同系色でまとめることで、縦ラインを強調することができます。
アウターがもたつくときは、パンツの色と合わせることで、つなぎ目が自然になります。
ロングアウターを合わせると、さらに縦のラインを強調できます。
フィック錯視
同じ大きさの長方形をT字型に並べると、垂直に伸びる線の方が長く見えます。
T字型を意識することで、縦長ラインを強調することができます。
フィック錯視は、細い線よりも、長方形の幅がある方が錯視が強くなります。
エビングハウスの大きさ錯視・デルブーフ錯視
同じ大きさでも、大きい丸を周りに置くと小さく見えます。反対に、小さい丸を周りに置くと、大きく見えます。これは、近くの図形を比較して大きさ判断するために起こる錯覚です。円以外の図形でもこの錯視は生じます。
また、エビングハウス錯視と似たものに、デルブーフ錯視があります。
内側の丸は同じ大きさですが、左の方が大きく見えます。
これをファッションに応用して、小物の使い方を工夫しましょう。
つばの広い帽子は、小顔効果があります。
幅の広いアイテムを持ってくることで、中心部分が細く見えます。
線の長さ(ミュラー・リヤー錯視)
2本の平行の線は同じ長さですが、下の線(矢羽が外側に向いたもの)の方が長く見えます。これがミュラー・リヤー錯視と呼ばれるものです。
この錯視は、建物に見つけることができます。
左側の矢印は建物の手前部分、右側の矢印は建物の奥の部分を示しています。長さはどちらも同じです。が、明らかに右側の線が長く見えますよね。
脳は「遠いものは近いものより小さく見えるはずだ」と判断して、奥に引っ込んでいる方を拡大して見ようとします。この遠近法の効果によって脳は補正を加える、というのが有力な説の一つです。
この錯覚を応用して、縦長ラインを作ることができます。
例えば、Vネックラインが強調されたデザインや、ブーツカットパンツは、外側矢印に近いデザインです。
比べてみると、右の方がスラリと長く見えます。
流行によって使えるアイテムは限られますが(例えば、最近はブーツカットが流行らないのではダサいと言われる確率が高まる)、外向き矢印が長く見える法則をうまく使うことで、スタイルをよく見せることができます。
理想体型でなくても、おしゃれな着こなしは可能
テレビに出ている芸能人を何人か思い浮かべてみてください。彼らは必ずしもモデル体型というわけではありません。太めだったり、小柄だったり、その人独自のキャラクターを持っている人がほとんどです。
バラエティ番組などを見ていると、スタイリストさんが用意したと思われるカジュアルな衣装を身にまとった出演者たちの姿を見ることができます。
そういう番組で「だせぇな」と思うことは少ないのではないでしょうか。
それは、つまり、理想体型でなくとも、その人に合ったものを選べば、おしゃれに洋服を着こなすことができるということです。
もちろん芸能人が持っている華やかさがあってこそ、という側面はあるでしょう。
それでも、ちょっと不安は和らぎませんか? 「芸能人のオーラ」とやらは、天性のものもあるのでしょうが、多くは自信からくるものだと思います。つまり、あなたもちょっとの心がけで手に入れることができるということです。
精神論のような話をするつもりはありませんが、希望を持つことは大切です。「どうせオレなんて」と諦めず、「いい感じに着こなそう」という気持ちを持っていきましょう!
まとめ
今回は、気になる体型をカバーするために応用できるテクニックをまとめました。
大事なことは、
・自分(体格・体型・雰囲気)を知る
・自分のコンプレックスを活かした着こなしを知る
・理想の体型に近づくよう、自己管理する
短所を隠すことよりも、長所を伸ばすことを考えた方が、素敵なコーディネートになります。
隠すよりも、ジャストサイズで。
気になる部分を隠そうとして、大きめサイズを着ると、野暮ったくなってしまいます。
弱点を隠すことばかりに意識を向けると、ますます気持ちが暗くなってしまうかもしれません。
もっと気楽に楽しむことも大切です。
それができないから困っているということは承知の上ですが、楽しいと思えないことを続けるのは苦痛なので、まずは「カッコいいな」「イイ感じ」と思えるものに注目することから始めましょう!
参考文献
杉原厚吉:『錯視図鑑~脳がだまされる錯覚の世界~』,成文堂新光社,2012
森川和則:「顔と身体に関連する形状と大きさの錯視研究の新展開:化粧錯視と服装錯視」,2012